■長い長い、と思っていた展覧期間も、あっという間に過ぎていくものです。
そういうことは判っていたのに、後回しになっていた「バベルの塔」展を見に、東京都美術館に行ってきました。

あんなにTwitterで出回っていた等身大?タラ夫には会えませんでした。残念…
東京での公開は7月2日まで。
私が行ったのは7月1日。
当然のことながら、激混みでした。
チケットを買うのにまず並び(でもここは10分くらいだったでしょうか)。
チケット買ってから入場するのに40分くらい並んだでしょうか。館内で列になっていたので空調は効いているはずなのに、やっぱり暑い。じっとりと汗がにじみます。間を詰めて並ぶように言われていたせいかもしれませんが、人いきれって凄い熱量を発するものなんですねぇ。このエネルギーを何かに活用できないものかしら(笑)
さてさて、私はこの展覧会に関して事前に友人から聞いていたことがありました。
これから大阪に回るそうなので、もしかしたらネタバレになってしまうのかもしれませんが…
(ネタバレ回避したい方は、次のパラグラフまで飛んでください)
本展覧会のメイン作品である「バベルの塔」は、一番最後に飾られています!
それまでは、主にブリューゲルの先蹤ともいえるヒエロニムス・ボスの作品が多く、「バベルの塔」だけが目当ての方であれば、いっそ潔く全部飛ばして、「バベルの塔」だけ見る、という手もあるかもしれません。
今回の展覧会はブリューゲルの「バベルの塔」が24年ぶりの来日、ということが大変話題になっていましたが、実際の展示内容はどちらかというとヒエロニムス・ボスの、しかもエッチングが多かったな、という印象を持ちました。
エッチングってそもそも、そうそう大きな作品はありませんので、どうしても見学する際には壁に一列に並んでじっくり見ることになります。
日本人は礼儀正しく、順番をきちんと守って見る方が多いので、その習性がどうしても混雑を引き起こしてしまうのかな、とちょっと思いました。
エッチングは、浮世絵と同じく、絵の中に込められている情報量が多いので、私はその辺りを見ることを放棄して(その分展覧会の公式プログラムを買うことにしました)、油彩画を見ることに集中しました。
ボスの大作として来日したのは、「放浪者」と「聖クリストフォロス」。
「聖クリストフォロス」とは、川渡しをしていた巨人クリストフォロスがある日、小さな男の子に請われていつもの通り川渡ししようとしたところ、その小さな男の子がどんどん重くなっていき、実はその男の子こそイエス・キリストだった、という伝説を持つ聖人の一人です。
小さな男の子が重かった理由は、「全人類の重さをその男の子が背負っているからだ」という解釈がなされています。
ただ私はどちらかというと…子泣き爺のイメージが強く(すみません)、「小さな男の子が思いがけず重くなる、という伝承はどこにでもあるものなんだなぁ」と、この画題を見るたびにしみじみ思ってしまいます。
ボスの「聖クリストフォロス」は、小さな男の子=キリストが颯爽とマントを翻してクリストフォロスの背に乗っている姿が大変凛々しく気高く、素直に「おお、イエス様だ! かっこいい!」という気持ちを喚起する、大変よい宗教画だと思いました。
で、この「聖クリストフォロス」と並んで、この展覧会にメムリンクの作品も来日しており…そう、この時代の宗教画だったら、私は圧倒的にメムリンクの方が好きなのでした!
メムリンクの作品はとても感情が落ち着いていて、静謐さに満ちており、祈祷の対象となる宗教画としてはこちらの方が見ていて落ち着く気がします。
一方のボスの作品群はどこか…気持ちがざわざわするのです。
さて、本命のブリューゲルの「バベルの塔」ですが、じっくり見るために絵の前の最前列は一列になるよう誘導されます。その後ろは幾重になって立ち止まってもいいのですが、最前列だけはちょっと流れ作業っぽい。
ここに至るまでに結構人酔いしていたので、「バベルの塔」の場所まで来ると、「やっと見れた!」という達成感の方が先に立つのは否めませんでした(笑)
ところで、このバベルの塔に触発され、漫画家の大友克洋さんが描いた「Inside Babel」という作品が、会場の前に飾られていました。入場する前、列に並んでいるときにじっくり見られたのですが、これがとてもよかった。
「Inside Babel」はあくまで「バベルの塔」にインスパイアされてできた作品ですが、先にこちらを見てから本物の「バベルの塔」をみると、「そうか、外側はこうなってるのね〜」と逆に思え、比較するのが楽しくなりました。
大友さんの「Inside Babel」も一緒に巡回するのでしょうか?
これ、一緒に並べて展示したらきっと面白いんだけどなぁ。
「バベルの塔」展は、「混んでたな」という印象の方が強くなってしまったのがちょっと残念でしたが、なかなかいく機会のないロッテルダムのボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館所蔵の作品を日本で見られる、というのは得難い経験ですし、この美術館の目玉の一つに違いない作品を招聘できた日本の美術館の方々のご尽力に感謝の念を覚えました。
■さて、「バベルの塔」展が開催されていた東京都美術館は上野にありまして、上野には美術館・博物館が集まっています。なのでまとめて回ってしまった方が効率がいい…
ということで、気になっていた国立西洋美術館の「アルチンボルド」展も、「バベルの塔」展の後に行くことにしました。

「アルチンボルド」展はまだ始まったばかりだからでしょうか、「バベルの塔」展に比べるとあからさまに人が少なくて、じっくりとゆっくりとみることができました。この鑑賞環境が維持されているのがとてもよかったせいなのか…正直に言うと、私はアルチンボルド展の方が印象がいいです(笑)
大きい作品がゆったりと展示されている、というのも理由の一つかもしれません。
今回のアルチンボルド展の目玉は、「四季〜春夏秋冬」と対になる「四大元素〜大気・火・大地・水」が、それぞれペアで向き合うように展示されていたことでした。
じーっとみるとちょっと気持ちが悪いのですが、ふっと目の端にある分には色も落ち着いているし、華やかさもあって、インテリアにちょうどいい。
それがアルチンボルドの作品がハプスブルク家に愛され、収蔵された理由のような気がしました。
基本的に、背景は黒一色。そこにパステルカラーが乗っているのですから、美しくないはずがない。
このコントラストを思いつき、追及して続けただけでも、アルチンボルドという人が偉大な才能を持った人だったのだな、と思います。
「寄せ絵」という奇想にどうしても注目が行きがちですが、私は彼の色彩センスがとても好きでした。
その「センスの良さ」は、アルチンボルドがハプスブルク家の様々な祝祭典の行事に関わる、コスチュームデザインを初めとしたあらゆるコーディネートをした、ということにも表れていたように思います。
アルチンボルドのデザインがも今回来日していたのですが、それぞれの職業(天文学者等)にまつわる衣装のデザインがとても美しく、こういう紛争をした人々が集った行事はどれほど壮麗で、ハプスブルク家の威厳を保つのに有効だっただろう…なんて想像すると楽しくなります。
多分、ものすごい大イベントで、それはそれは華やかなお祭りだったはず。
正直に言うと、アルチンボルドの作品がたくさん収蔵されているウィーンの美術史美術館では、他に見るものが多くて、アルチンボルド自身の作品に注目してこれまで見てきたことはありませんでした。
アルチンボルドの出現が、後の静物画につながったというのもわかるとおり、彼の作品は緻密で落ち着いていてあまり熱を感じないからかもしれません。
今回こういう風にまとめてみる機会がなければ、私もこの画家の素晴らしさに気が付けなかったかもしれません。
もうそれだけで充分、私にとっては価値のある展覧会でした。
ちなみに、アルチンボルドはレオナルド・ダ・ヴィンチに深く私淑していたとのこと。
あ、今三菱一号館美術館で、「レオナルドxミケランジェロ」展やってるじゃない!
わーこっちも見に行かないとね〜
舞台やクラシックのコンサートよりは値が張らなくて助かりますが、美術館・博物館見学も、一度見てしまうと次から次へと見たいものが増えてしまって、本当に困ります。
ちなみに、アルチンボルド展の音声ガイドでは、竹中直人さんがアルチンボルド役を演じていらっしゃいます。いささか大仰に過ぎるのではないか、と思いましたが、16世紀っぽい感じ(シェイクスピアも同時代の人だし)ってこういう感じかな〜と想いを馳せるにはちょうどいい感じではありました。
アルチンボルド展て巡回するんでしょうかね?
巡回するなら、地味にいい展覧会だったので、ぜひ多くの人が見られるといいな、と思いました。
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